海外リポート

バッハ・アルヒーフの新会長にコープマン

ドイツ中部ライプツィヒにある研究機関バッハ・アルヒーフは5月13日、オランダの音楽家トン・コープマンが同アルヒーフの新会長に就任したと発表した。バッハ・アルヒーフは音楽学の研究所で、資料部門、博物館部門、音楽祭部門も擁する総合機関。日々、学術…

ドクメンタ14 ― カッセル&アテネ

暑さ寒さも彼岸までという。こういった実感を持つのは日本人だけではない。ドイツでも同様に、キリスト復活祭を迎えれば人々は春の訪れを感じるし、聖霊降臨祭になれば初夏の到来を喜ぶ。それに音楽シーンやアートシーンが連動する。2017年の聖霊降臨祭は6月…

カッセル・ドクメンタ/dOCUMENTA (13)

2012年の6月、取材の合間を縫ってカッセルへ遠征。5年に一度のアートの祭典「ドクメンタ」に足を運ぶ。2007年に続いて2度目の訪問。前回に比べ展示総面積が減っていて、内容的には直接的な政治メッセージが目立つ(テーマが「イスラム世界」だからか)。…

ライプツィヒ、正しい祝日の過ごし方 -- ちょっとした建築めぐり

2011年6月2日は「キリスト昇天祭」。ドイツでは祝日に付き全国的にお休みです。 キリストは十字架上の死から3日目(すなわち2日後)に復活し、それから40日目(すなわち39日後)に天に上げられたと言われています。それを祝うのがこの昇天祭です。復活祭は移動祝…

初夏のドイツから音楽シーンをお伝えします!

「東京の初夏 音楽週間」を5日に終え(収支報告等、今しばらくお待ちください)、6日朝のフランクフルト便でドイツにやって来ました。6月下旬までこちらで取材を進め、みなさんに初夏のドイツの音楽シーンをお伝えして行きます。 さてLH711便はA380での運行…

ライプツィヒ・バッハ博物館リニューアル(4)

バッハ自身にゆかりのある品々がたくさん並ぶバッハ博物館ですが、変わり種もちらほら展示されています。そのひとつがこちら、アンナ・マグダレーナ・バッハの墓から出土した副葬品です。アンナ・マグダレーナはバッハの2番目の妻。1720年に先妻と死に別れ…

ライプツィヒ・バッハ博物館リニューアル(3)

「音楽博物館」の展示は、造形物を対象とする美術館の展示とは様子が異なります。というのも、モノの紹介ではなくコトの紹介をするのがその役割だから。もっとも重要な要素である音楽そのものを「見える」ように展示することは出来ない、というのが大きな問…

ライプツィヒ・バッハ博物館リニューアル(2)

ライプツィヒ・バッハ博物館リポート、第2回目の今回は「タッチパネル・アルバム」のご紹介。新しくなったバッハ博物館では、楽譜や書籍、絵画や彫刻といった従来通りの展示品に加え、最新技術を駆使した多彩な参加型展示が仲間入りしました。そのひとつが…

ライプツィヒ・バッハ博物館リニューアル(1)

ライプツィヒ・バッハ博物館がリニューアルオープンしました。ひと月前の話で恐縮なのですが、これから数回に分けて、生まれ変わった「バッハ・アミューズメントパーク」を紹介いたします。 バッハが28年に渡って活躍したドイツ・ライプツィヒ。大作曲家ゆ…

映画『飛ぶ教室』の舞台はいま・・・

現在滞在しているアパートは、ライプツィヒ旧市街のちょうど真北に位置するアルトバウ(旧建築。第一次世界大戦前までに建てられたものを指す)。南向きの窓からは、ライプツィヒの主要なランドマークである中央駅、東独時代の高層アパート・通称フンガーハ…

旧東ドイツ建築に住んでみる(2)

螺旋階段は昇降に必要なスペースを小さくする上、意匠も美しいので、古来多くの建築に用いられています。螺旋状(円・楕円・正方形など)に階段が配置され、軸線を支柱が貫く構造が普通ですが、軸に支柱がなく上下階が見渡せるタイプのものも(たとえば、ヴ…

レクラム文庫はカタログまでイカしている

ドイツ系文学青年の憧れ、レクラム文庫。岩波文庫のモデルと言われるその黄色い勇姿に胸をときめかせた方、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。ドイツのちょっとした書店ならレクラム文庫コーナーは必ずあるので、寄ったついでについつい背表紙に…

旧東ドイツ建築に住んでみる(1)

ヨーロッパでアパートメントやフラットを借りるとなると、19世紀までに建てられた旧建築(Altbau)がよいですよね。凝った意匠の外観、天井の高い室内、ゆったりとした間取り。たいがいは現代の生活様式向けにリノベートされていますから快適です。 そこをあ…

「ベルリンの壁崩壊」カウントダウンTV

ベルリンの壁が崩壊したのが1989年11月9日。ドイツの人々にとってこの日は、避けようもなく重要な日です。というのも、壁崩壊が20世紀最大級の平和的事業だったこと、そしてその裏返しとして、壁の存在が20世紀最大級の不幸でもあったことを思い出す日付だか…

バウハウスはヴァイマルからはじまった

中部ドイツ・ハレに滞在中の6月9日、チューリンゲンのヴァイマルに足を延ばし、街を挙げて行われている大規模なバウハウス展に出かけました。デッサウでのバウハウス建築めぐりとあわせ、バウハウスの旅の重要なイヴェントです。2007年にカッセル・ドクメン…

ティーブレイク

これまで、シベリア上空のルフトハンザ機内や、ライプツィヒ市民が甲羅干しにいそしむ休日の公園などで任務を遂行してきました。今回はいよいよ世界遺産で決行です。 何をするかというと、野点です。江戸期の提げ籠に茶道具一式を収めておもてに持ち出し、ゲ…

ヴェルリッツの城館と庭園

デッサウ中央駅には秘密のプラットホームがあります。そこから、水曜日と週末だけ単線・1両編成の電車が走ります。平均時速35キロののんびり旅。30分もすると終点のヴェルリッツに到着です。ここにデッサウ2つ目の世界遺産、城館と庭園があります。 城館は…

デッサウのバウハウス建築群

ライプツィヒ・バッハ音楽祭の訪問を前に、デッサウとヴァイマルでバウハウス関連の取材。その後、ハレのヘンデル音楽祭に寄ってからライプツィヒへと移動するひとり旅です。 第1目的地・デッサウは小さな地方都市ですが、2つの世界遺産を抱える文化の街。…

コーヒーブレイク

ドイツに缶コーヒーなるものは、基本的には存在しないと思っていました(イヴェント用は見たことがある)。ところがありました、缶コーヒー。しかも「illy」のカプチーノです。カフェなどに置いてある「illy」のエスプレッソ・メーカーは、1杯あたり7グラム…

ネフェルティティは今ここに

かつてベルリンにはエジプト博物館があった。シャルロッテンブルク宮の向かいのこじんまりとした博物館だったが、そこにはかの有名な「王妃ネフェルティティの胸像」が展示されていた。 ネフェルティティを含むエジプト博物館のコレクションは、現在再建中の…

ベルリン・ボーデ博物館

ベルリンのアート・スポットといえば、ポツダム広場そばの文化フォーラムや、世界遺産にも指定されている「博物館の島」が思い浮かぶ。とりわけ、フェルメールやブリューゲルなどのコレクションで有名な絵画館と、古代ギリシアの神殿を再現したペルガモン博…

バッハ新発見の基礎知識 (3)

新たに発見されたバッハの真作、コラール・ファンタジー(オルガン曲) <主なる神、我らの側(かたえ)にいまさずして Wo Gott der Herr nicht bei uns haelt> BWV1128 。「ニュースが分かる基礎知識」コーナー第3回目です。「新発見ニュース」は2008-04-16を…

バッハ新発見の基礎知識 (2)

新たに発見されたバッハの真作、コラール・ファンタジー(オルガン曲) <主なる神、我らの側(かたえ)にいまさずして Wo Gott der Herr nicht bei uns haelt> BWV1128 。「ニュースが分かる基礎知識」コーナー第2回目です。新発見のニュースは2008-04-16をご…

バッハ新発見の基礎知識 (1)

新たに発見されたバッハの真作、コラール・ファンタジー(オルガン曲) <主なる神、我らの側(かたえ)にいまさずして Wo Gott der Herr nicht bei uns haelt> BWV1128 。ニュースをより楽しむため、いくつかの基礎知識を確認しておきましょう(新発見のニュー…

新発見・バッハのオルガン曲がハレで見つかる!

先だってバッハ・アルヒーフ・ライプツィヒより電話があり、大バッハの作品がドイツ中部のハレ大学で発見されたとのこと。 .................................................. コラール・ファンタジー(オルガン曲) <主なる神、我らの側にいまさずして Wo …

『新バッハ全集』刊行完了 (07年6月)

18世紀ドイツの作曲家J・S・バッハの作品は現在、1000曲余りが伝承されています。そのすべてを厳密に校訂し、楽譜として出版する大事業 --『新バッハ全集』の刊行が完了し、2007年6月13日に完了記念式典(および記者会見)がライプツィヒで催されました。.…

ポルシェ・デザインのオルガン

新しい「バッハの楽器」ポルシェ・オルガン -- ライプツィヒ・ニコライ教会 旧聞に属しますが、2004年秋、ライプツィヒに新たな文化的シンボルが仲間入りしました。街の中心に位置するニコライ教会のオルガンが改修され、新しい機能と姿を手に入れたので…