バッハ新発見の基礎知識 (1)


 新たに発見されたバッハの真作、コラール・ファンタジー(オルガン曲) <主なる神、我らの側(かたえ)にいまさずして Wo Gott der Herr nicht bei uns haelt> BWV1128 。ニュースをより楽しむため、いくつかの基礎知識を確認しておきましょう(新発見のニュースは2008-04-16をご覧下さい)。
...........................................................
[1] コラール・ファンタジーとは?
新教ルター派の簡素な讃美歌・コラールの旋律に基づくオルガン曲。本来のコラール旋律(定旋律)を引き延ばしたり、縮めたり、装飾音で飾ったり、フーガ風に展開したり、即興的なフレーズを挿入したりと、多彩な手法を動員して名人芸を聴かせる。17世紀後半の北ドイツで発展した。<17のコラール>の第1曲<来ませ、聖霊、主なる神 Komm, Heiliger Geist>BWV651 が典型例。
...........................................................
[2]「主なる神、我らの側(かたえ)にいまさずして Wo Gott der Herr nicht bei uns haelt」とは?
1524年にJ・ヨーナスが作ったコラール(ルター派の簡素な讃美歌)。歌詞の作者は不詳。内容は「詩篇」第12篇に基づき、神に味方を頼み敵に打ち勝つ、というもの。第1節「主である神様が私たちの味方になってくださらなければ、・・(中略)・・私たちにはもはや望みはない」の第1行をタイトルとしている。同じコラールが同名のカンタータBWV178に採用されている。
...........................................................
つづく

写真:BWV1128 の筆写譜。(C)MLU, Norbert Kaltwasser