「ベルリンの壁崩壊」カウントダウンTV


 ベルリンの壁が崩壊したのが1989年11月9日。ドイツの人々にとってこの日は、避けようもなく重要な日です。というのも、壁崩壊が20世紀最大級の平和的事業だったこと、そしてその裏返しとして、壁の存在が20世紀最大級の不幸でもあったことを思い出す日付だから。あれから丸20年、経済優等生の西ドイツが破産寸前の隣国を吸収合併するという壮大な実験も、決して平坦な道のりをたどったわけではありません。
 当時の空気を忘れてなならないと多くのイヴェントが企画されていますが、興味深いのは壁崩壊カウントダウン番組が放映されていること。「壁崩壊まであと何日」と表示された画面で流されるのは、1989年のその日のニュース番組です。2009年9月15日分ならば、1989年の9月15日のニュースが放映されるという趣向。「西ドイツ社会民主党(SPD)議員団が東独訪問」などのニュースに触れると、現代の我々は壁崩壊にいたる「詰め将棋」の1手を見ているような錯覚に陥ります。しかし、当時の人々は「この先どうなるか分からないが、きっと大きな出来事が起こるであろう緊張感」に包まれながらニュースに接していたはずです。
 壁崩壊に先んじること1ヶ月、ここ旧東独領ライプツィヒでも民主化につながる重要な出来事がありました。ピンと来た方、相当の現代史通ですね。この話題はまた後日。


写真:ZDF放映「ベルリンの壁崩壊」カウントダウン番組