ライプツィヒ・バッハ博物館リニューアル(1)


 ライプツィヒ・バッハ博物館がリニューアルオープンしました。ひと月前の話で恐縮なのですが、これから数回に分けて、生まれ変わった「バッハ・アミューズメントパーク」を紹介いたします。
 バッハが28年に渡って活躍したドイツ・ライプツィヒ。大作曲家ゆかりのこの地で、長く音楽ファンを楽しませてきたのがバッハ博物館です。このたび2年間の改装を終え、3月20日、リニューアルオープンしました。
 リニューアルは、博物館が入居する文化財建築・ボーゼハウスの改築工事に伴うもの。以前に比べ現代的な内装に生まれ変わったほか、最新鋭の資料保存室などが新たに加わり、展示スペースも改装前の3倍弱に拡大しました。これまで展示を控えていたバッハの自筆楽譜など貴重資料が最新設備のもと公開され、地元ファンの人気を呼んでいます。
 今回は各新聞にも写真が掲載されている「オルガン演奏台」をご紹介。元のオルガンは、ライプツィヒヨハネ教会(消失)に設置されていたもので、ヨハン・シャイベの手になる1743年製の楽器。ヨハネ教会はバッハの旧墓所として有名です。手鍵盤2段と足鍵盤、22のレジスター(音色変換機構)を備えたオルガンでしたが、1894年の教会廃止に伴い解体され、演奏台と椅子だけがライプツィヒ大学楽器博物館(グラッシ楽器博物館)に保存されました。その後、2009年にそれらが修復され、今回の公開につながったというわけです。
 この楽器とバッハとの接点が出来たのは1743年12月13日。この日、ヨハネ教会のシャイベ・オルガンを検査したのがバッハです。ですから、バッハは間違いなくこの演奏台で演奏をした、ということですね。ちなみにこのオルガンの出来は良かったらしく、バッハは「申し分なし」とお墨付きを与えたといいます。
 かつてバッハが触れたオルガン演奏台。いまとなっては音が出るわけもなく、いわば「聖遺物」として奉られている状態ですが、枯れ木も山の賑わい、バッハ博物館にあるぶんには善しといたしましょう。