ベルリン・ボーデ博物館


 ベルリンのアート・スポットといえば、ポツダム広場そばの文化フォーラムや、世界遺産にも指定されている「博物館の島」が思い浮かぶ。とりわけ、フェルメールブリューゲルなどのコレクションで有名な絵画館と、古代ギリシアの神殿を再現したペルガモン博物館の人気が高い。そんな「人気者」に囲まれてすこし埋没気味ながら、その実、非常にレヴェルの高い博物館を紹介したい。
 観光客の足も及んでいない印象の「博物館の島」最北端、バロック風のドームを頂くのがボーデ博物館だ。キリスト教美術を中心とした膨大なコレクションのうち、とくにお勧めしたいのは、6世紀にラヴェンナの教会の後陣を飾ったモザイク画を移設した部屋。大天使ミカエルとガブリエルを従えたキリストが、四半球状の後陣(教会堂の奥の張り出しドーム)に、色とりどりのモザイクで描かれている。土曜日の午後に来ても、この夢のような空間を独り占めできる。
 午前中にペルガモン博物館をゆっくりと見学し、午後のひとときにラヴェンナのモザイクを楽しむのもよいコース。興味のある方はぜひ、ボーデ博物館へ。


写真:後陣モザイク画(ラヴェンナ, 545年)/ボーデ博物館