ポルシェ・デザインのオルガン


新しい「バッハの楽器」ポルシェ・オルガン -- ライプツィヒ・ニコライ教会

 旧聞に属しますが、2004年秋、ライプツィヒに新たな文化的シンボルが仲間入りしました。街の中心に位置するニコライ教会のオルガンが改修され、新しい機能と姿を手に入れたのです。
 ニコライ教会のオルガンは18世紀には「バッハの楽器」でした。カンタータ29番や146番の冒頭楽章は、まさに18世紀のニコライ・オルガンのために書かれた音楽です。1786年にその楽器が取り壊され、新オルガン設置、1862年に大改修が行われました。そして2004年、ポルシェの支援によってこのオルガンに新たな世紀が到来。200万ユーロを超える費用のうち180万ユーロをポルシェが負担し、大規模な改修が実現しました。
 オルガンの仕様は大変に豪華。足鍵盤と5段の手鍵盤、103の音栓、約6300本のパイプを持つロマンティック・オルガンです。加えて注目したいのが新しい演奏台。ポルシェ・デザインによって綿密に設計されています。素材は黒檀とステンレス・スティールのコンビ。色合いの対照性の割に、鈍い光沢を放つ両者の質感はよく調和しています。左右の音栓群は演奏者を包み込むように配されており、そのカーブは金属素材の冷たさに比して豊かな暖かみを備えているように感じます。
 一見デザインに特化したこの演奏台を、ニコライ教会カントルのユルゲン・ヴォルフ氏は次のように評価しています。
「美しいだけでなく実用的。足鍵盤、手鍵盤、音栓も演奏しやすい位置にありますね。演奏するための基本的な要素をしっかりと備えていると思います。」