音楽祭

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン おすすめ公演!

*ラ・フォル・ジュルネ有料公演の被災地支援方針について追記あり ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンが、このたびの国内情勢を受けて全券払い戻しになった時は、これはなかなか難儀であるなと思いました。しかし、困難な状況を乗り越えて新プログラムの発…

ケーテン・バッハ音楽祭2010(6)

ムジカ・アンティカ・ケルン(MAK)。ゲーベル率いる「古楽バカ」たちが、暴走気味ながら筋の通ったピリオド演奏をしていた幸せな時期がありました。ゲーベルの左手の故障でMAKは解散しましたが、この団体からアンドレアス・シュタイアーら俊英が巣立って行…

ケーテン・バッハ音楽祭2010(5)

ケルンの演奏団体は曲者ぞろいですが、その中でもとりわけ異彩を放っているのがカントゥス・ケルンではないでしょうか。ユンクヘーネル率いるこの団体の特徴は、暑苦しいほど個性的な歌い手たち。音楽祭4日目のこの日も、その歌声がアグヌス教会にこだまし…

ケーテン・バッハ音楽祭2010(4)

2010年は彼の年だった。そういう声が後年、聞こえてきそうな活躍をガーディナーが見せています。以前からよい、という向きもおられますが、衰えゆく身体と豊かになりゆく経験とのバランスが完全に整っているのが今、なのです。2005年に聴いた<マタイ受難曲…

ケーテン・バッハ音楽祭2010(3)

9月2日の午後はJ.S.バッハホールへ。2008年に完成した新しい多目的ホールで、バッハが楽長として勤めた城のすぐ隣です。以前ケーテンを訪れたとき、ここはひどく荒廃していましたが、すっかりきれいになりました。 ベルリン古楽アカデミーが<フーガの技法…

ケーテン・バッハ音楽祭2010(2)

音楽祭の2日目の9月2日は、メルテンス&コープマン、ベルリン古楽アカデミー、ガーディナー&イングリッシュ・バロック・ソロイスツと、それはもう、これ以上を望むべくもないすてきな1日。 午前のコンサートはアグヌス教会での<シュメッリ歌曲集>。バス…

ケーテン・バッハ音楽祭2010(1)

9月1日、音楽祭は<ロ短調ミサ曲>で開幕。演奏はヘレヴェッへ&コレギウムヴォカーレです。2003年にライプツィヒ・バッハ音楽祭ですてきな<ロ短調>を聴かせてくれましたが、いまいちピンとこなかったのをよく覚えています。当方も少しは成長しているでし…

ケーテン・バッハ音楽祭2010(0)

ケーテンに来ています。ケーテンはドイツ・ザクセン=アンハルト州の街で、バッハが宮廷楽長をした土地として音楽ファンの間では有名です。現在はこじんまりとしたなかにバッハ史跡や歴史的建造物などが点在する、若干うらぶれた典型的なドイツの地方都市。…

ライプツィヒ・バッハ音楽祭2010(5)

<ミサ曲 ロ短調>BWV232はバッハ畢竟の大規模声楽曲。失明直前まで作曲が続けられたこの曲は、バッハの音楽家生涯を締めくくるに相応しい大作です。 ライプツィヒ・バッハ音楽祭では千秋楽でこの曲を演奏するのが習いとなっています。同じ文言の典礼文に曲…

ライプツィヒ・バッハ音楽祭2010(4)

バッハの街ライプツィヒ。トーマス教会はもちろん、ニコライ教会や旧市庁舎などバッハ史跡には事欠きません。その中であまり知られていないながらも重要なのが、ボーゼハウス「夏の間」。ボーゼハウスは18世紀の大商人ボーゼの館で、バッハが一時的に寄宿し…

ライプツィヒ・バッハ音楽祭2010(3)

フィリップ・へレヴェッへ、大学で医学と心理学を学ぶと同時に、ヘント音楽院で鍵盤楽器を先攻。コレギウム・ヴォカーレ・ヘントを結成し指揮者としてのキャリアをスタートさせた。爾来、バロック音楽の演奏に励み、とりわけバッハ演奏の発展に寄与した。そ…

ライプツィヒ・バッハ音楽祭2010(2)

11日、オープニングコンサートに引き続き向かったのは、旧市街の北端に位置する宗教改革教会。アンドラ・シフのピアノリサイタルです。<フランス組曲>BWV812-817全曲を前半、<フランス風序曲>BWV831を後半に配するオールバッハプログラム。現代のバッハ…

ライプツィヒ・バッハ音楽祭2010(1)

開幕日の11日、トーマス教会でのオープニングコンサートは17時にスタート。指揮はゲオルク・クリストフ・ビラー、現代のトーマスカントール(トーマス学校音楽監督)、すなわちバッハの「後裔」です。彼のコンサートの特徴は、プログラムに教会音楽家として…

ライプツィヒ・バッハ音楽祭2010(0)

世界中にバッハの名前を冠した音楽祭はありますが、「本場」ということからするとこのライプツィヒ・バッハ音楽祭にかなうものはありません。今年は6月11日から20日までの10日間、トーマス教会を始めとするバッハゆかりの場所を会場に、多くの音楽家が精魂込…

メンデルスゾーン音楽祭(5)

クルト・マズアは厄介なおじいさんである メンデルスゾーン音楽祭の千秋楽は、クルト・マズア指揮、中部ドイツ放送合唱団、ゲヴァントハウス管弦楽団によるメンデルスゾーンのオラトリオ<エリヤ>。これは、生きたまま天に上げられた預言者エリヤの後半生を…

メンデルスゾーン音楽祭(4)

ピノック、再登板 過日、忘れがたいベートーヴェンの第4交響曲を披露してくれたピノック。12日には、同じくゲヴァントハウス管弦楽団とコンビを組み、メンデルスゾーン<交響曲第2番変ロ長調「讃歌」>の演奏です。合唱はゲヴァントハウス合唱団と、学生中…

メンデルスゾーン音楽祭(3)

トレヴァー・ピノックは実際よりも大きく見えるおじさんである ピノックといえばコレルリ、ヘンデル、テレマン、そしてバッハといったバロック期の作品の演奏で一時代を築いたチェンバロ奏者・指揮者。手兵のイングリッシュコンサートをヴァイオリン奏者のマ…

メンデルスゾーン音楽祭(2)

マウリツィオ・ポリーニはカラフルなおじいさんである 当代一のピアニストは誰か、という問いはなかなか難しく、にわかに答えにくいのですが、挙げられる名前の中にマウリツィオ・ポリーニが入ることは間違いのないところです。初めて彼の演奏を聴いたのはヴ…

メンデルスゾーン音楽祭(1)

ドイツの夏は短く、9月に入るとほどなくして曇りがちな日々、つまり秋を通り越して初冬のような毎日がやってきます。そんな短い夏の間に、各地で「音楽祭」が催されますが、今年の注目はなんといってもメンデルスゾーン音楽祭。作曲家の生誕200年を迎えた今…

ライプツィヒ・バッハ音楽祭(4)

クラヴィコードに耳を澄ませるように バッハが最も愛した鍵盤楽器といわれるクラヴィコード。同時期に活躍したチェンバロとは発音の仕組みが違っていて、機構はどちらかというとピアノに近い楽器です。ですから、チェンバロにできずピアノにできることは、ク…

ライプツィヒ・バッハ音楽祭(3)

政治と音楽は切り離せないものだから… ライプツィヒ初夏の風物詩、バッハ音楽祭が開幕しました。恒例になりすぎたのか、あまり浮き足立ったところもなく、日常の延長上に「バッハの宴」がある、といった趣です。2009年は、ライプツィヒゆかりの音楽家メンデ…

ハレ・ヘンデル音楽祭(4)

ヘミオラは魔術なのか 拍節の魔術師といってよい作曲家が何人かいて、べートーヴェンやブラームスがそれにあたります。ベートーヴェンの<交響曲第3番>やブラームスの<交響曲第2番>はともに3拍子系。「1,2,3」「1,2,3」「1,2,3」と続く拍を、「12,31…

ハレ・ヘンデル音楽祭(3)

<アリオダンテ>は忠臣蔵? ヘンデルがオペラ<アリオダンテ>HWV33を初演したのは1735年。レチタティーヴォ・セッコ(通奏低音のみの叙唱)とアリアが交代で現れ、アリアを歌ったら歌手は退場、といったバロックオペラの慣習をどうにか打ち破り、新機軸を…

ハレ・ヘンデル音楽祭(2)

<メサイア>は歌舞伎だ! ヘンデルは多彩な創作に励んだ音楽家で、大規模な声楽曲からソロ楽器のためのソナタまで、聴くによし演奏するによしの曲をたくさん書いています。ですから、代表作を挙げるとなるととても難しいのですが、そのひとつが<メサイア>…

ハレ・ヘンデル音楽祭(1)

メモリアル・イヤーというのは往々にして重なるもので、2009年はハイドン年でもありメンデルスゾーン年でもあるわけです。そして、忘れてならないのはヘンデルを記念する年であること。歿後250年を迎えたバロック期の大音楽家は、ロンドンで最期を迎えたわけ…

ライプツィヒ・バッハ音楽祭 2009 (2)

アンドレアス・シュタイアーと<ゴルトベルク変奏曲>のはなし アンドレアス・シュタイアー(1955年生まれ)は、ドイツのチェンバロ・フォルテピアノ奏者。ムジカ・アンティカ・ケルンを経て、現在はソロで大活躍中です。ムジカ・アンティカの<ブランデンブ…

ライプツィヒ・バッハ音楽祭 2009 (1)

5月に入ると毎年、そわそわします。それはドイツで白アスパラガスが待ってい・・・もとい、ドイツでバッハ音楽祭が始まるからです。 1904年、新バッハ協会の主催で始まったこの音楽祭はヨーロッパでも最古の部類に入ります。バッハ・ルネサンス時代、二度の…

ラ・フォル・ジュルネ事務局訪問

2月26日(木)、東京国際フォーラムのラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン事務局を訪問し、プロデューサーの鈴木順子さんらとお話する機会を持ちました。ラ・フォル・ジュルネにあわせ「バッハの素顔」展を開催するので、両者の協力関係を確認し、お互いの健闘…

戸下神楽にみる「虚階」

宮崎県北部、天孫降臨の神話で有名な高千穂にほど近い諸塚村(もろつかそん)。ここでは周辺の町や村と同様、古来の神事芸能・神楽(かぐら)の伝統が守られている。諸塚神楽には3つの系統があるが、そのうち戸下集落に伝わる神楽の公演が、<東京の夏>音楽祭…

カラジャ族とのフェアトレード

ブラジル中央部アマゾン川流域に暮らすインディオ、カラジャ族。彼らの芸能公演が、第24回<東京の夏>音楽祭のプログラムの1つとして実現した(7月16,17日草月ホール、19日武蔵野市民文化会館)。ヨーロッパや北米ではすでに紹介されているカラジャ族の芸能…