ハレ・ヘンデル音楽祭(1)


 メモリアル・イヤーというのは往々にして重なるもので、2009年はハイドン年でもありメンデルスゾーン年でもあるわけです。そして、忘れてならないのはヘンデルを記念する年であること。歿後250年を迎えたバロック期の大音楽家は、ロンドンで最期を迎えたわけですが、生まれはドイツ中部ザクセン・アンハルトの街・ハレです。ライプツィヒに程近いこの都市は塩の交易で栄えた商人の街で、往時をしのばせる豪奢な建築が目に付きます。とりわけ、市場に建つ「市場聖母教会」は4つの塔が特徴で、その姿に驚かされます。これは、それぞれ2つの塔を持った2つの教会が並んでいたのを、合体させて1つの教会にしたため。どうりで西と東の塔はずいぶんスタイルが違うわけです。
 ここで毎年6月、郷土の英雄を讃えて行われるのがヘンデル音楽祭です。今年はヘンデル年ということもあり、例年以上の盛り上がりを見せています。ヘンデルの生家で、現在博物館となっているヘンデルハウスは改築され、このあいだリニューアルオープン。その他のヘンデル史跡も多数あり、街歩きも心が弾みます。
 これからバッハ音楽祭が始まるまでの間、こちらのヘンデル音楽祭の様子を現地からお届けします。

写真:ダフィト・シュロイエン<ハレ市場聖母教会>銅版画, 1750年頃