櫻田亨(ギター, リュート)「フランス・ルネサンスのギターとリュート」

フランス・ルネサンスのギターとリュート◇櫻田亨(ギター, リュート)〔Nostalgia 1703〕

 ブルクミュラーのピアノ練習曲が今、注目を集めている。平易な語り口のうちにひそむ確かな音楽性に、プロフェッショナルの弾き手も、愛好家の聴き手も惹かれるのだろう。このたびの櫻田の録音にも、それと同じような意識がうかがえる。16世紀フランスの出版楽譜から、ギターとリュートの曲を紹介する。いずれの作品群も肩の力の抜けた作りだが、その土台にある音楽の楽しみは大きい。平易な語り口そのものに価値を見出して、装飾過多にならぬようにする奏者の気配りも、音盤の価値を高めている。流行のシャンソン撥弦楽器用に編曲した作品が面白い。多彩な子音の表現が可能なギターやリュートゆえ、まるで言葉を話しているように聴こえるところも。



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