ビシュコフ指揮チェコ・フィルのチャイコフスキー《悲愴》他

チャイコフスキー 交響曲第6番《悲愴》, 幻想序曲《ロメオとジュリエット》◇セミヨン・ビシュコフ(指揮), チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(管弦楽)〔UCCD-1475〕

 チェコ・フィルが音楽監督ビシュコフの指揮のもと、チャイコフスキー管弦楽曲を録音した。感心させられるのは音盤としての出来の良さだ。これは原音への忠実度が高いとか、そういったことを言いたいのではない。録音技師を含む作り手全体が、何をどう音盤化すればチャイコフスキーの芯に迫れるか、ということを仕事の土台に据えている。とかく情緒的な音作りに流されがちな《悲愴交響曲》でも、細かく主題を引き継いでいくさまや、響きのレジスターをぱきっと変える様子など、交響曲の構造面を克明に浮き彫りにする。もしかするとそれは、人為的に増幅されているのかもしれない。しかし、作品世界の的を射抜いている。録音に携わる人々の手腕の高さに大きな拍手を。



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