シュミットとバルトークの管弦楽曲 -- 大野和士&都響



フランツ・シュミット《交響曲第4番》▼ベラ・バルトーク《弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽》▼大野和士(指揮)東京都交響楽団(管弦楽)〔FOCD9695〕

音楽監督・大野が、就任前に都響と臨んだ演奏会のライブ盤。同時代の作曲家であるシュミットとバルトークを取り上げ、20世紀前半の音楽の両面性をあぶりだす。シュミットはロマンティックな流れを随所で断ち切って、その断面にモダニズムを露呈させる。バルトークモダニズムの薄皮の中に、煮えたぎるロマンティシズムを封じ込めている。対照的な両者を大野と都響は、それぞれの基礎部分をしっかりと描写することで造形していく。シュミットならばロマン派的な和声の推移を丁寧に、バルトークならば鋭角な無調の響きをしっかりと。その基礎があるから、それぞれのぎょっとする響きが、まさに驚くべき瞬間として立ち上がってくる。

初出:音楽現代 2016年2月号


.