ジャン=フィリップ・ラモーの肖像 − 崎川晶子(チェンバロ)



ジャン=フィリップ・ラモーの肖像▼崎川晶子(チェンバロ)〔ALCD1146〕

没後250年を迎えたラモーのチェンバロ曲を、「238歳」のオリジナル・チェンバロで弾く。フランス・クラヴサン音楽の魅力が折り重なるようにして音盤に収まっている。まずは楽器。3セットの弦の組み合わせにより、音色が表情豊かに変わる。つぎに楽曲。意表をついた色合いの変化が心地よい。そして標題性。肖像を意味するジャンル「ポルトレ」が、当時のクラヴサン音楽の洒脱さを伝える。互いに補い合うそれらの要素を、崎川がひとまとめにする。間合いの良い装飾音が、それらの要素を結びつける接着剤となっているようだ。トラック20「エンハーモニック」では、ラモーが理論家として面目を施している。そんな点も聴き逃せない。

初出:音楽現代 2014年12月号


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