ライプツィヒ・バッハ音楽祭2014(2)



【22時半のヴィオラ・ダ・ガンバ
 ライプツィヒ・バッハ音楽祭の有料公演は多い日で5つの時間帯に設定されている。11時半、15時、17時、20時、22時半(それぞれ同時多発の場合も)。メインは20時に始まる大規模な演奏会で、11時半は若手、15時や17時は教会でオルガン、などと性格が決まっている。22時半の深夜枠は室内楽が中心だ。夏至に近いこのころ、ライプツィヒでは22時が夕暮れどき。やっと空気が落ち着いたタイミングで室内楽の時間となる。

 19日(木)の22時半はボーゼハウスでヴィオラ・ダ・ガンバの演奏会。ボーゼハウスはバッハが一時、逗留した館で、現在はバッハ博物館になっている。ヴィオラ・ダ・ガンバのトーマス・フリッツと鍵盤のシャレフ・アド=エルが、カール・フリードリヒ・アーベルのガンバソナタを中心に、カール・フィリップエマヌエル・バッハゲオルク・フィリップ・テレマンの作品を弾く。
 ふたりはそれぞれ2台の楽器(7弦ガンバ2台〔どちらも18世紀オリジナル〕+フォルテピアノチェンバロ)を駆使して、レジスターの転換(音色換え)をおこなっていく。プログラムは♯系と♭系とを対比的に並べたもの。それぞれに大(響きが豊か)と小(張りのある発音)のガンバを対応させ、さらにフォルテピアノチェンバロとの組み合わせも工夫する。
 腕の重さを活かした右手の運びに「縦に構える楽器では弓は逆手で持つのが本当だなあ」と思わされた。アド=エルが適宜、ガンバの音色や弓運びを鍵盤上で再現したりするので、寄り添い感や対話感が色濃くにじむ。佳い夜。


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