ドイツ音楽祭めぐり2014 ― 初夏編



 今年もやってきた、バッハの街・ライプツィヒ。こちら中部ドイツでは初夏らしいさわやかな陽気が続く。いつものアパートを拠点に、音楽祭やら(仕事)、古書店やら(半分仕事)、展覧会やら(やや仕事)、古美術店やら(趣味)をめぐる日々。
 白アスパラガスが市場に山積みになるこのころ、中部ドイツでは2人の作曲家の名前を冠したフェスティヴァルが、音楽好きを喜ばせる。ハレのヘンデル音楽祭と、ライプツィヒのバッハ音楽祭だ。
 昨年、ドイツを襲った洪水の影響で中止を余儀なくされたハレ・ヘンデル音楽祭。堂々と復活を遂げた今年はこれまで通り、力の入ったプログラムが並ぶ。マリン・ハルテリウスのガラ・コンサート、ジ・エイジ・オヴ・エンラトゥンメント管弦楽団ヘンデル&ボイス、ユリア・レージネヴァ&イル・ジャルディーノ・アルモニコヘンデルジェミニアーニ、そして忘れてはならない数々のオペラやオラトリオ。6月5日から15日まで、歌好きにはたまらない布陣で聴衆を待ち構えている。
 いっぽう、「バッハのお祭り」としては世界最大級のライプツィヒ・バッハ音楽祭は、今年で110周年。ドイツでも老舗中の老舗だ。2014年はバッハの次男エマヌエルの生誕300年で、演目上の親子競演も豊富にそろう。エッガー&アカデミー・オヴ・エンシェント・ミュージックのバッハ親子作品集、ラーデマン&ベルリン古楽アカデミーのバッハ・カンタータ集、ホグウッド&ターフェルムジークバロックヘンデル《ブロッケス受難曲》、コープマン&アムステルダムバロック・オーケストラの《ミサ曲ロ短調》、鈴木雅明&ゲヴァントハウス管弦楽団+MDR合唱団のハイドン天地創造》、鈴木雅明(オルガン)のブクステフーデ&バッハ作品 などなど。
 音楽祭開催中にはバッハメダルの授与式も行われる。今年はベルリン古楽アカデミーが栄誉に輝いた。音楽団体としては初の受賞。Akamusのバッハ演奏に対する貢献度に鑑みれば、まったくもって妥当な褒賞だ。”音楽祭テーマ人物”のエマヌエルは、ベルリンでも活躍したことだし、タイミングも良い。
 その他もろもろひっくるめて、これからひと月間、こちらより「ドイツ音楽祭めぐり2014 ― 初夏編」をお届けする。乞うご期待。

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