Duo SORELLE 高田あずみ&高田はるみ デュオ・リサイタル Vol. 4



 モダンと古楽、両方の分野で活躍するヴァイオリニストの姉妹が、まさに「姉妹 sorelle〔伊語・複数形〕」の名前でデュオを組む。このたびはバロック期から古典期にかけての五曲を、十八世紀スタイルの楽器と弓とで披露した。弓は同世紀前半のものと世紀末のものとを使い分ける。
 ヴィヴァルディのト長調ソナタルクレールニ長調ソナタはトリオソナタハイドンの二重奏曲は弦楽四重奏曲ルクレールヘ長調ソナタヴィオッティの二重奏曲は協奏曲の様式。つまり五曲のデュオはすべて、より大きい編成の曲の縮小版だ。
 だから二挺のヴァイオリンは、三声部書法や四声部書法、そして弦楽合奏までも表現しなければならない。古楽器は音域によって音色が大きく違うので、こうした多声部書法を、より小さい編成で実現するのに適している。
 こうした楽器の力に加え、単旋律からも複数の登場人物の対話を引き出す高田姉妹の演奏によって、デュオから、カルテットやオーケストラの幻影が浮かび上がった。(2013年10月4日 近江楽堂)


初出:音楽現代 2013年12月号