《アレクザンダーの響宴》― アーノンクール&コンツェントゥス・ムジクス・ヴィーン


ヘンデル作曲, モーツァルト/モ―ゼル編曲《アレクザンダーの響宴 ― ティモテウス、または音楽の力》〔SICC30120/30121〕
ロベルタ・インヴェルニッツィ(ソプラノ), ヴェルナー・ギューラ(テノール), ジェラルド・フィンリー(バス), ウィーン楽友協会合唱団(合唱), ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス管弦楽), ニコラウス・アーノンクール(指揮)

原曲はヘンデルにより1730年代の半ばに作曲され、1736年に初演を迎えた英語の大規模声楽曲。1766年にラムラーが台本を独語訳し、それを元にモーツァルトが1790年に編曲した。さらに1812年、指揮者モーゼルが上演に際してモーツァルトの楽譜に手を入れる。当盤はこの稿に基づく世界初録音。クラリネットやホルンの補強などに19世紀初めの演奏習慣が色濃く映る。とりわけ耳を奪われるのは、レチタティーヴォで一貫して用いられるフォルテピアノの音色。当時のウィーンの音楽家や聴衆が、バロック音楽をどのように味わっていたかを知らせる興味深い試みだ。楽団の60周年を祝う舞台の実況録音だけに、会場の熱気がほとばしる。


初出:音楽現代 2013年10月号

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