国際マーラー音楽祭(0)「初夏のライプツィヒ、マーラーに沸く」
ライプツィヒゆかりの音楽家と言うと真っ先にバッハが挙がります。しかし、ライプツィヒは音楽の街を自任するだけあり、西洋音楽の歴史の中で「バッハの街」というだけでない大きな役割を果たしてきました。
先述のバッハが音楽監督を務めたことはもちろんのこと、モーツァルトがバッハの音楽と決定的な出会いを果たしたのもここライプツィヒ。ベートーヴェンの多くの交響曲が作曲後すぐ、この地で演奏され、出版もされました。メンデルスゾーンはゲヴァントハウスの指揮者を務め、シューマン夫妻はこの地を根城に音楽活動を繰り広げました。彼らとリストとを引き合わせたのもこの街です。ここがヴァグナーの生地であることは言うまでもありません。
そんなライプツィヒに1886年、26歳のグスタフ・マーラーがやって来ました。2年に渡ってライプツィヒ市立劇場の副楽長として八面六臂の大活躍。その間に《交響曲第二番ハ短調》の草稿にも取りかかっています。
1860年に生まれ1911年に亡くなったマーラー、昨年は生誕150年、今年は没後100年にあたります。街ゆかりのこの大音楽家を顕彰し、今年、国際マーラー音楽祭がここライプツィヒで開催されています。期間は5月17日から29日、ライプツィヒ・ゲヴァントハウスを会場に、世界のトップ楽団がマーラーの交響曲をリレーで演奏。こんなプログラムです。
第1番 ゲルギエフ&ロンドン響(22日)
第2番 シャイー&ゲヴァントハウス管(17,18日)
第3番 サロネン&シュターツカペレ・ドレスデン(19日)
第4番 ハーディング&マーラー・チェンバー(25日)
第5番 ギルバート&ニューヨーク・フィル(23日)
第6番 ジンマン&トーンハレ管(24日)
第7番 ネゼ=セガン&バイエルン放送響(21日)
第8番 シャイー&ゲヴァントハウス管(26,27,29日)
大地の歌 ルイジ&ロイヤル・コンセルトヘボウ管(22日)
第9番 ガッティ&ウィーン・フィル(28日)
第10番 メルクル&中部ドイツ放送響(20日)
マーラー・ファンには堪らない布陣。このほか、市内の映画館でマーラーに関する映画を集中的に上映、マーラー学の碩学よる講演会も多数用意されています。そうそう、最近できた市内最高級ホテル「シュタイゲンベルガー」(滞在しているアパートの向かい。窓から見える)では演奏会後に毎回「マーラー・ラウンジ」が催され、演奏直後の指揮者の肉声を聴くことができます。
専門外に付き、少し冷静に取材にあたっていますが、それでも17日のシャイー&ゲヴァントによる《第二交響曲》は、すばらしい演奏でした。この演奏会の詳細は次回。これからしばらく、マーラーに沸く初夏のライプツィヒの様子を、現地からリポートいたします。