ミュンシュ&フランス国立放送管弦楽団1966年東京ライブ

ミュンシュ&フランス国立放送管弦楽団1966年東京ライブ◇シャルル・ミュンシュ(指揮), フランス国立放送管弦楽団(管弦楽)〔KKC 2174〕

 半世紀以上前の演奏会を記録した実況録音。プログラムはすべてフランスの作曲家によるもの。ミュンシュは管楽器と弦楽器とを音響上、対比させて、そのコントラストで作品の構造そのものを語ろうとする手筋をとる。それがドビュッシーの《海》では効果を上げない。確かに楽譜は対比的に書かれているが、それはサウンドの対比というよりも語り口の対比。響きは融け合っていたほうが語り口のコントラストは映える。一方、フォーレの《ペレアスとメリザンド》ではミュンシュ流が功を奏す。融け合う楽想の波に埋もれた対比を掘り起こすからだ。ルーセル交響曲第3番にいたり、作品とミュンシュの戦略が完全に呼応する。なるほど、後世に伝えたい演奏である。



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