モーツァルト協奏曲集(アバド指揮, モーツァルト管弦楽団)


モーツァルト:クラリネット協奏曲 / フルート協奏曲第2番 / ファゴット協奏曲〔UCCG1627〕
アレッサンドロ・カルボナーレ(クラリネット), ジャック・ズーン(フルート), ギヨーム・サンタナファゴット), クラウディオ・アバド(指揮), モーツァルト管弦楽団管弦楽

クラリネットのカルボナーレが曲にしのばせる装飾音で洒落っ気を発揮すれば、フルートのズーンが負けじと自由なカデンツァで即興性を披露する。一方ファゴットサンタナは発音の多彩さでモーツァルトの「おしゃべり」な楽想を演出した。三者とも18世紀の語法に近い分節法(アーティキュレーション)を基本にしつつ、モダン楽器の息の長さを活かしたフレージングを採用する場面も。優れたバランス感覚。アバド率いるモーツァルト管は、竹を割ったように清々しい長三和音と、粘着度満点の情念渦巻く短三和音とで、モーツァルトの情緒の振れ幅を表現。ソロ楽器を強調し過ぎない=「協奏」を重視した録音姿勢にも好感。準推薦。

初出:音楽現代 2013年7月号