《ロ短調ミサ曲》私録 III -- ブリュッヘンの《ロ短調》を終えて


 ブリュッヘン新日本フィルの《ミサ曲ロ短調》の公演も無事終わりました。というわけで、当方がこれまで実演に接した《ロ短調》の番付を発表するコーナーの第3回を。あくまで「私録」ですので、ランキング内容についてのクレームはご容赦ください(笑)。

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第1位 ガーディナー, モンテヴェルディ合唱団&イングリッシュ・バロック・ソロイスツ(ライプツィヒ・トーマス教会, 2010年)
第2位 ヘンゲルブロック, バルタザールノイマン合唱団&同アンサンブル(同トーマス教会, 2009年)
第3位 アーノンクール, シェーンベルク合唱団&コンツェントゥス・ムジクス・ヴィーン(サントリーホール, 2010年)
第4位 ブロムシュテット, ゲヴァントハウス合唱団&同管弦楽団(同トーマス教会, 2005年)
第5位 エリクソン, エリクソン室内合唱団&ドロットニングホルム・バロックオーケストラ(同トーマス教会, 2004年)
第6位 へレヴェッへ&コレギウム・ヴォカーレ・ヘント(ケーテン・ヤコブ教会, 2010年)
第7位 ブリュッヘン指揮, 栗友会合唱団&新日本フィルすみだトリフォニーホール, 2011年)
第8位 ノリントン, RIAS室内合唱団&ブレーメン・ドイツ室内管弦楽団(同トーマス教会, 2008年)
第9位 へレヴェッへ&コレギウム・ヴォカーレ・ヘント(同トーマス教会, 2003年)
第10位 ビラー, トーマス合唱団&ストラヴァガンツァ・ケルン(同トーマス教会, 2006年)
第11位 シュミット=ガーデン, テルツ少年合唱団&コンツェルトケルン(同トーマス教会, 2007年)

問題外 コルボ, ローザンヌ声楽アンサンブル&同器楽アンサンブル(東京国際フォーラム, 2009年)←ここに並べるのがはばかられるほどひどく、内実のない演奏。コルボの「バッハに対する無理解/不勉強」が白日の下にさらされた。
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2011年、これから聴く《ロ短調
ユンクヘーネル指揮, カントゥス・ケルン(アルンシュタット・バッハ教会, 5月)
ヤコプス指揮, バルタザール・ノイマン合唱団&ベルリン古楽アカデミーライプツィヒ・トーマス教会, 6月)
延原武春指揮, テレマン室内合唱団&テレマン室内オーケストラ(いずみホール, 10月)
フェルトホーヴェン指揮, オランダ・バッハ協会(東京文化会館ほか, 12月)


 ブリュッヘン新日本フィルの演奏が第7位に食い込みました。モダンオケ/合唱団としては佳い演奏でも、古楽スペシャリストたちが比較対象となると、上位入賞は難しいですね(その意味でブロムシュテットはそうとう健闘した。ゲヴァントハウス管がバッハに慣れているせいもある)。まあ、第9位まではかなり高いレヴェルでの比較ですから、判断が難しい部分があるにはあります。とはいえ、ガーディナーの圧倒的第1位はしばらく揺るぎそうもありません。
 対抗馬は今年6月、ヤコプス指揮、バルタザール・ノイマン合唱団&ベルリン古楽アカデミーの《ロ短調》。これはかなり強力な組み合わせで、おそらく3位までに入るのではないかと想像しています。カントゥス・ケルンの「もしかして名演になるかも…」と思わせる「演奏の勢い」にも期待。延原さん&日本テレマン協会の《ロ短調》は、ひと工夫ありの興味深い公演。まだ全貌を明らかにするわけには行きません。いまは「18世紀末”古典派”スタイル」とだけ言っておきましょう。


写真:ジョン・エリオット・ガーディナー(9月3日、ケーテン・ヤコプ教会)