ショルンスハイム、《平均律第二巻》全曲演奏


 チェンバロフォルテピアノに活躍するドイツの古典鍵盤楽器奏者、クリスティーネ・ショルンスハイム。バッハをはじめとするバロック期のチェンバロ音楽はもちろん、フォルテピアノで19世紀の音楽を演奏することも。旋律楽器の伴奏も積極的に引き受けるその姿勢に、同僚音楽家からの評価も高く、ドイツ古楽の屋台骨を支える演奏家のひとりです。
 そんなショルンスハイムが最近、日本に長期滞在しています。というのも、東京藝術大学古楽科が彼女を客員教授として招聘したから。この滞在中、各地でソロ・リサイタルや室内楽の公演に励んでいます。今回はそのクライマックスとも言えるリサイタル「バッハ《平均律クラヴィーア曲集第二巻》全曲演奏会」(1月20日大阪倶楽部)に出かけました。
 レヴューは来月発売の『モーストリー・クラシック』4月号に掲載されますので、詳しくはそちらをご覧になっていただくとして、この演奏会がたいへんすばらしかったことを、ここに報告いたします。これまで、ショルンスハイムの演奏を毎年のように聴き、彼女を立派な演奏家だとは思っていましたが、そのパフォーマンスにピンと来たことはありませんでした。しかし、この日の演奏にはとてもとても感心。ポイントは「譜面が白い」曲(たとえばホ長調のフーガなど)で、ぐぐっと耳をひきつける表現に出会えたこと。
 まだ滞在は続くようですから、折よく演奏会にありつける場合は、足をお運びになることをお勧めいたします。


写真:クリスティーネ・ショルンスハイム(2010年6月, ライプツィヒ・ボーゼハウス)