第4回


カッセル・ドクメンタ(3)”天”落

 オランジュリーの庭には一見、朽ちた家屋のようなものがあります。実態は悪天候によって崩壊した構造物を、恣意的に放置したオブジェ。東洋の建具が組み合わされています。重要なのは構造物の骨組みが多角形であること。陰陽五行説によれば、多角形は概念上「円」と同様のかたち。そして天円地方、すなわち円形は天を表しています。構造物の多角形の骨組みが落ちている様子は、天界が地に落ちてきた様子を期せずして表象しているというわけ。それが悪天候によってもたらされたのだから、バックストーリーも都合が良いですね!

(作品キャプションは近日中に付けます)