ファウストの「バッハ ヴァイオリン協奏曲集」

J・S・バッハ ヴァイオリン協奏曲◇イザベル・ファウスト(ヴァイオリン), ベルリン古楽アカデミー(管弦楽)〔KKC6015/6〕

 当代一のヴァイオリニストと、これまた当代一の古楽楽団によるバッハ集。ヴァイオリンと管弦楽のための曲を集めているが、オリジナルのヴァイオリン協奏曲は3曲のみ。他の10曲は復元協奏曲、カンタータの楽章、オルガンのためのトリオソナタの編曲などだ。興味深いのは管弦楽組曲第2番の編曲で、フルートに変わってヴァイオリンが独奏を担当する。旋律が弦楽器、正確に言えば弓づかいに依存した運びになっているところが面白い。だからと言って違和感があるわけではなく、弓を通して音楽の自然な横顔が見えてくるのだから、一流奏者の手腕はすばらしい。その他のソリストも高水準。とくにオーボエのレフラーの息づかいは、ファウストの弓づかいに比肩する。



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