ドビュッシー「最後の3つのソナタ集」

クロード・ドビュッシー「最後の3つのソナタ集」◇ファウスト(ヴァイオリン), ケラス(チェロ), メルニコフ(ピアノ)他〔KKC5938〕

ドビュッシーはその最晩年、ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタ、フルート、ヴィオラとハープのためのソナタの3つのソナタをなんとか書き上げた。このたびの録音はこれら3作品に、同時期のピアノ曲を加えた最晩年作品集。注目は名手ぞろいの奏者たちとその楽器。いわゆる古楽器をふんだんに用いる。それがお飾りで終わらない。たとえばヴァイオリン・ソナタ。音高を変えながら同じ音形を繰り返す場面でファウストは、音域によって異なる音色を楽器から引き出す。それはまるで、同じセリフを複数の登場人物で言い合うかのように聴こえる。古楽器の特性と作品世界とを奏者の創意が結び付けている。それは当たり前だが難しい。



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