Fairest Isle 美しき島 – イギリスの歌 パーセルとブリテン
「2人のパーセル」を並べ、英国の歌の世界を描き出す1枚。パーセルの没した17世紀末以来、イギリスでは次なる才能を「パーセルの再来」と称した。この称号に最もふさわしい音楽家とされたのが、20世紀の人、ブリテンだった。詩の内容（自然や愛情など）があり、それを表現する言葉の形式（脚韻など）があり、形式に則した音楽の姿（意外な和声進行など）があり、それを彫琢する演奏がある。この流れを、200年乖離しているはずの両パーセルが共有していること、その共有を、21世紀の日本の音楽家たちがきちんと聴き手に悟らせるところに、この録音のすばらしさがある。伴奏楽器の組み合わせも情緒をよく縁取っている。
初出：音楽現代 2015年7月号
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