フランス・クラヴサン音楽選集 − 渡邊順生



フランス・クラヴサン音楽選集▼渡邊順生(クラヴサン)〔ALCD-1147〕
クラヴサンは、チェンバロ(伊)・ハープシコード(英)を意味するフランス語。この楽器とそのための音楽は、17世紀から18世紀にかけてヴェルサイユとパリとで黄金期を迎えた。ルイ・クープランジャン=フィリップ・ラモーはその屋台骨を支えた音楽家。アントワーヌ・フォルクレのヴィオール作品も、クラヴサン編曲されることで、この黄金期に名前を刻むこととなった。ノンムジュレ(小節線のない音楽)はもちろんのこと、各舞曲やポルトレ(標題音楽)でも渡邊は、ゆらぐフランス語が拍節に四角四面には収まらない様子をすくい取っていく。子音の多彩さと、弦楽器の弓を上げ下げを感じさせる力動性とが、宮廷の愉快なおしゃべりを描き出す。

初出:音楽現代 2015年4月号


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