ヘンデル《メサイア》− アイム&コンセール・ダストレ

エマニュエル・アイム(指揮), コンセール・ダストレ(管弦楽)〔WPCS12876/7〕

レザール・フロリサンクラヴサンを弾いていたアイムが、自身の楽団を率いて《メサイア》に挑む。独唱には英語圏の歌手を揃え万全の体制。20人の合唱は、精度と厚みとを両立するのに適した規模だ。言葉を四角四面には譜割に収めない歌い手と、通奏低音を中心にあくまで推進力を保つ管弦楽。両者のせめぎ合いの中に音楽の時間の伸縮、緊張と緩和の交感が生まれる。一直線に進む音階さえきちんと分節し、そこに楽句の対話を作り出す繊細な指揮者は一方で、リズムをスイングさせる余裕も持つ。こうした姿勢が、語り聞かせだけでも、歌い聞かせだけでもない、歌って語り、語って歌うオラトリオを実現させた。



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