古典派オーボエ協奏曲集 ― インデアミューレ



古典派オーボエ協奏曲集▼トーマス・インデアミューレ(オーボエ), ミラン・トゥルコヴィッチ(指揮), エストニア国立交響楽団 〔CMCD28308〕

オーボエの名手が独奏を、ファゴットの名手が指揮を担当した1枚。伝ハイドン、クロンマー、J・C・バッハの曲が並び、そこにモーツァルトの名前はない。「18世紀後半から19世紀初めのオーボエ協奏曲集」としては異例の構え。しかし、そこは曲者インデアミューレ、きちんとモーツァルトを登場させている。どのようにアマデウスを呼び出したかは聴いてのお楽しみだ。高音域と低音域との音色の違いは際立つが、両者の移行は滑らか、という二律背反の課題をやすやすとクリアするインデアミューレ。管弦楽も負けじとその機能性を充分に発揮する。たとえば、長調から短調へと移る瞬間の劇的な翳りは、才気あふれる独奏に負けていない。

初出:音楽現代 2014年10月号

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