《ロ短調ミサ曲》私録 X


 当方がこれまで実演に接したバッハ《ロ短調ミサ》BWV232の番付を発表するコーナーの第10回。今回の旅ではマルク・ミンコフスキ&レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル=グルノーブルの演奏会に足を運んだ(2014年9月3日 ケーテン・ヤコプ教会)。
 10人の声楽アンサンブルで独唱も合唱もまかなうミンコフスキお得意の方式だが、これが機能しない部分とうまくハマる部分とで相半ば。「サンクトゥス」以降の二重合唱では威力を発揮して、聴きものだった。
 まあ、2010年のガーディナーの圧倒的第1位は揺るぐことはない。これはあくまで「私録」なので、ランキング内容についてのクレームはご容赦を(笑)。


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第1位 ガーディナー, モンテヴェルディ合唱団&イングリッシュ・バロック・ソロイスツ(ライプツィヒ・トーマス教会, 2010年)
第2位 ユンクヘーネル, カントゥス・ケルン(アルンシュタット・バッハ教会, 2011年)
第3位 ヘンゲルブロック, バルタザールノイマン合唱団&同アンサンブル(同トーマス教会, 2009年)
第4位 ハリー・ビケット, イングリッシュ・コンサート(同トーマス教会, 2012年)
第5位 トン・コープマン, アムステルダムバロック・オーケストラ&同合唱団(同トーマス教会, 2014年)
第6位 フェルトホーヴェン, オランダ・バッハ協会(東京オペラシティ, 2011年)
第7位 ヤコプス, バルタザール・ノイマン合唱団&ベルリン古楽アカデミー(同トーマス教会, 2011年)
第8位 アーノンクール, シェーンベルク合唱団&コンツェントゥス・ムジクス・ヴィーン(サントリーホール, 2010年)
第9位 ブロムシュテット, ゲヴァントハウス合唱団&同管弦楽団(同トーマス教会, 2005年)
第10位 NEW! ミンコフスキ, レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル=グルノーブル(ケーテン・ヤコブ教会, 2014年)
第11位 鈴木雅明, バッハ・コレギウム・ジャパンバーデン・バーデン祝祭劇場, 2012年)
第12位 エリクソン, エリクソン室内合唱団&ドロットニングホルム・バロックオーケストラ(同トーマス教会, 2004年)
第13位 へレヴェッへ, コレギウム・ヴォカーレ・ヘント(ケーテン・ヤコブ教会, 2010年)
第14位 ブリュッヘン, 栗友会合唱団&新日本フィルすみだトリフォニーホール, 2011年)
第15位 ノリントン, RIAS室内合唱団&ブレーメン・ドイツ室内管弦楽団(同トーマス教会, 2008年)
第16位 へレヴェッへ, コレギウム・ヴォカーレ・ヘント(同トーマス教会, 2003年)
第17位 ビラー, トーマス合唱団&ストラヴァガンツァ・ケルン(同トーマス教会, 2006年)
第18位 延原武春, テレマン室内合唱団&テレマン室内オーケストラ(いずみホール, 2011年)
第19位 シュミット=ガーデン, テルツ少年合唱団&コンツェルトケルン(同トーマス教会, 2007年)
第20位 ビラー, トーマス合唱団&フライブルクバロック・オーケストラ(同トーマス教会, 2013年)

問題外 コルボ, ローザンヌ声楽アンサンブル&同器楽アンサンブル(東京国際フォーラム, 2009年)←ここに並べるのがはばかられるほどひどく、内実のない演奏。コルボの「バッハに対する無理解/不勉強」が白日の下にさらされた。どういうわけか日本でだけもてはやされている。アンスバッハ、ケーテン、ライプツィヒの主要なバッハ音楽祭に彼らが呼ばれないことをもう少し冷静に見つめてはいかがか。


写真:ケーテン・ヤコプ教会


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