新日本フィルハーモニー交響楽団第525回定期演奏会 ― ハーディングのブラームス



 ハーディングがブラームス交響曲・協奏曲を振る特集の第一夜。交響曲の第二番と第三番とが披露された。前半の第二番冒頭に不思議な手触り。旋律を基本拍子単位に分節して、長短(タータ)の韻律を強調。それが変拍子ヘミオラのギアチェンジをくっきりと縁取る。息が長いと思われがちなメロディーが切り刻まれる様子に、不慣れな耳は違和感を覚える。
 しかし第三番にいたり、韻律重視の姿勢が両交響曲を結ぶ「かすがい」の役目を果たしていることに気付かされる。第三番の第一楽章も第二番の冒頭楽章と同じく、長短の韻律が駆動装置となり曲を前に進める。ハーディングは両交響曲の第一楽章同様、第四楽章どうしを関連づけ、第二と第三楽章とをたすき掛けに結びつけた。こうして両交響曲の兄弟性がクリアに示された。
 単なる作曲家特集に終わらない演奏で自らのブラームス観(鑑)を示したハーディング。シリーズの行方が気になるところだ。(2014年5月2日 サントリーホール

初出:音楽現代 2014年7月号

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