柴田雄康&花岡和生『二本のリコーダーによる「対話」』

二本のリコーダーによる「対話」, 柴田雄康&花岡和生(リコーダー)〔RGCD-1034〕

17世紀フランスの宮廷歌曲、マラン・マレヴィオール作品などを2本のリコーダー編曲で聴く。柴田と花岡のコンビが1980年に初演した広瀬量平の《オードII》も、《オードI》とともに収録されている。広瀬作品は旋法的なので、フレンチバロックのプログラムによく溶け込む。曲の重心は最初の曲から終わりの曲にかけて低くなっていく。すなわちアルトから下の低音リコーダーだけが登場し、最終的にはバスとグレートバスの二本の編成となる。最低音域にあたる最後の曲は《リュリ氏のトンボー》。追悼曲だ。愛を歌う宮廷歌曲を奏しつつ、生の階段を徐々に下り、死の色を深める。「メメント・モリ」の傑作盤がここに出来した。



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