ルネサンス舞曲集 ― マンロウ&ロンドン古楽コンソート



「ルネサンス舞曲集」デイヴィッド・マンロウ(指揮), ロンドン古楽コンソート(管弦楽)〔TOCE16279-80〕

イギリス古楽運動の中興の祖マンロウのルネサンス音楽特集。ルネサンスと言っても、パレストリーナに代表される対位法的な宗教音楽ではなく、世俗曲である舞曲にスポットを当てる。まず驚かされるは取り上げられたダンスミュージックの多様さ。さまざまな国々の舞踊に由来するリズムは、拍子だけでは割り切れない複雑さを持っている。さらにそれらを演奏するのに多種の楽器が使われる。総じて音量の大きくない楽器群だが、だからこそ、そこから当時のダンスの場=館の中規模なホールの大きさを感じ取ることができる。舞踊のステップと、それを入れる器としての空間が同時に感じられる稀有な録音で、バロックから時代を遡りたい向きに最適。


初出:音楽現代 2013年11月号

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