《ロ短調ミサ曲》私録 VII -- BCJとイングリッシュ・コンサートを追加



 当方がこれまで実演に接した《ロ短調》の番付を発表するコーナーの第7回。今回の楽旅では2度、《ロ短調》の演奏会に足を運びました。バーデン・バーデン祝祭劇場で鈴木雅明&BCJ、トーマス教会でハリー・ビケット&イングリッシュ・コンサートの二組です。
 その結果、第4位にビケット&イングリッシュ・コンサートが、9位に鈴木雅明&BCJがランクイン。イングリッシュ・コンサートは「繊細なピアニッシモ」と「上品な絶叫」を上手く使った、ヘンデル風《ロ短調ミサ》。好みの分かれるところですが、僕は嫌いではありません。その他、見事としか言いようのない工夫があったりと、心に残る公演でした(後日、別項で紹介します)。
 さて両者の佳演を持ってしても、ガーディナーの圧倒的第1位は揺るがず。2010年のあの《ロ短調》はもはや伝説です。ちなみにガーディナーのこの実演、CDとは随分違うので、録音を聴いてもイメージするのは困難です。一期一会ですね。これは、あくまで「私録」。ですのでランキング内容についてのクレームはご容赦ください(笑)。


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第1位 ガーディナー, モンテヴェルディ合唱団&イングリッシュ・バロック・ソロイスツ(ライプツィヒ・トーマス教会, 2010年)
第2位 ユンクヘーネル&カントゥス・ケルン(アルンシュタット・バッハ教会, 2011年)
第3位 ヘンゲルブロック, バルタザールノイマン合唱団&同アンサンブル(同トーマス教会, 2009年)
第4位NEW! ハリー・ビケット指揮, イングリッシュ・コンサート(同トーマス教会, 2012年)
第5位 フェルトホーヴェン指揮, オランダ・バッハ協会(東京オペラシティ, 2011年)
第6位 ヤコプス, バルタザール・ノイマン合唱団&ベルリン古楽アカデミー(同トーマス教会, 2011年)
第7位 アーノンクール, シェーンベルク合唱団&コンツェントゥス・ムジクス・ヴィーン(サントリーホール, 2010年)
第8位 ブロムシュテット, ゲヴァントハウス合唱団&同管弦楽団(同トーマス教会, 2005年)
第9位NEW! 鈴木雅明指揮, バッハ・コレギウム・ジャパンバーデン・バーデン祝祭劇場, 2012年)
第10位 エリクソン, エリクソン室内合唱団&ドロットニングホルム・バロックオーケストラ(同トーマス教会, 2004年)
第11位 へレヴェッへ&コレギウム・ヴォカーレ・ヘント(ケーテン・ヤコブ教会, 2010年)
第12位 ブリュッヘン, 栗友会合唱団&新日本フィルすみだトリフォニーホール, 2011年)
第13位 ノリントン, RIAS室内合唱団&ブレーメン・ドイツ室内管弦楽団(同トーマス教会, 2008年)
第14位 へレヴェッへ&コレギウム・ヴォカーレ・ヘント(同トーマス教会, 2003年)
第15位 ビラー, トーマス合唱団&ストラヴァガンツァ・ケルン(同トーマス教会, 2006年)
第16位 延原武春指揮, テレマン室内合唱団&テレマン室内オーケストラ(いずみホール, 2011年)
第17位 シュミット=ガーデン, テルツ少年合唱団&コンツェルトケルン(同トーマス教会, 2007年)

問題外 コルボ, ローザンヌ声楽アンサンブル&同器楽アンサンブル(東京国際フォーラム, 2009年)←ここに並べるのがはばかられるほどひどく、内実のない演奏。コルボの「バッハに対する無理解/不勉強」が白日の下にさらされた。どういうわけか日本でだけもてはやされている。アンスバッハ、ケーテン、ライプツィヒの主要なバッハ音楽祭に彼らが呼ばれないことをもう少し冷静に見つめてはいかがか。
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写真:バッハ・オルガン(ライプツィヒ・トーマス教会)