武満徹 ソングブック コンサート



2011年11月19日(土) めぐろパーシモンホール 大ホール

 ギター・バンドリン・コントラバスの弦楽トリオ・ショーロクラブが、武満徹のポピュラー・ソングを集め演奏会を催した。7人の歌手を呼んだ舞台にはソファやテーブルが置かれ、寛いだ雰囲気を演出する。プログラムは50年代から80年代までの「ソング」を連ねたもの。「めぐり逢い」から「ワルツ」にいたる前半では、おしゃれな大人の集うラウンジの香りを漂わせたが、「ぽつねん」に始まる後半では一転、人生の白秋が歌われた。作曲家の死後に編まれた「MI YO TA」で最後を締めた演奏会は、生老死を語る物語となった。
 以上が舞台で行われたことなのだが、この「一周して武満徹がカッコイイことに気が付いた大人の寛いだパーティー」なる空気感を、どれだけの聴衆が共有できたかはよく分からない。世代違いの人々の宴を観る居心地の悪さをいったん閑却して言えば、寛いだ雰囲気の中にも生老死を感じるのが、アラウンド50世代の「世界の手触り」なのだろうと納得した次第。

初出:モーストリークラシック 2012年2月号