《ロ短調ミサ曲》私録 VI -- オランダ・バッハ協会が4位に!



 当方がこれまで実演に接した《ロ短調》の番付を発表するコーナーの第6回。今秋冬は2度、《ロ短調》の演奏会に足を運びました。10月の延原武春&日本テレマン協会と、12月のフェルトホーヴェン&オランダ・バッハ協会です。今年は計5回の実演に接しました。
 その結果、14位に延原&日本テレマン協会が、4位にフェルトホーヴェン&オランダ・バッハ協会がランクイン。日本テレマン協会の《ロ短調》はまだまだ伸びシロがある成長注目株。なんせメンバーが若い、若い!しかもみんな日本人!これから公演を積むたびにランクが上がって行く予感がひしひしと感じられます。オランダ・バッハ協会の演奏は、ひとことで言えば「モダン風の薄皮の中に古楽のエッセンスをこれでもかと詰め込んだ小龍包」のような演奏(どんなだ?)。モダン演奏愛好家の方にも聴きやすい仕上がりですが、気を付けて食べないと「古楽火傷」を負いますよというクセ球です(いよいよどんなだ??)。
 さて両者の佳演を持ってしても、ガーディナーの圧倒的第1位は揺るがないわけで、2010年のあの《ロ短調》はもはや伝説です。ちなみにガーディナーのこの実演、CDとは随分違うので、録音を聴いてもイメージするのは困難です。一期一会ですね。
 まぁこれは、あくまで「私録」。ですのでランキング内容についてのクレームはご容赦ください(笑)。

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第1位 ガーディナー, モンテヴェルディ合唱団&イングリッシュ・バロック・ソロイスツ(ライプツィヒ・トーマス教会, 2010年)
第2位 ユンクヘーネル&カントゥス・ケルン(アルンシュタット・バッハ教会, 2011年)
第3位 ヘンゲルブロック, バルタザールノイマン合唱団&同アンサンブル(同トーマス教会, 2009年)
第4位NEW! フェルトホーヴェン指揮, オランダ・バッハ協会(東京オペラシティ, 2011年)
第5位 ヤコプス, バルタザール・ノイマン合唱団&ベルリン古楽アカデミー(同トーマス教会, 2011年)
第6位 アーノンクール, シェーンベルク合唱団&コンツェントゥス・ムジクス・ヴィーン(サントリーホール, 2010年)
第7位 ブロムシュテット, ゲヴァントハウス合唱団&同管弦楽団(同トーマス教会, 2005年)
第8位 エリクソン, エリクソン室内合唱団&ドロットニングホルム・バロックオーケストラ(同トーマス教会, 2004年)
第9位 へレヴェッへ&コレギウム・ヴォカーレ・ヘント(ケーテン・ヤコブ教会, 2010年)
第10位 ブリュッヘン, 栗友会合唱団&新日本フィルすみだトリフォニーホール, 2011年)
第11位 ノリントン, RIAS室内合唱団&ブレーメン・ドイツ室内管弦楽団(同トーマス教会, 2008年)
第12位 へレヴェッへ&コレギウム・ヴォカーレ・ヘント(同トーマス教会, 2003年)
第13位 ビラー, トーマス合唱団&ストラヴァガンツァ・ケルン(同トーマス教会, 2006年)
第14位NEW! 延原武春指揮, テレマン室内合唱団&テレマン室内オーケストラ(いずみホール, 2011年)
第15位 シュミット=ガーデン, テルツ少年合唱団&コンツェルトケルン(同トーマス教会, 2007年)

問題外 コルボ, ローザンヌ声楽アンサンブル&同器楽アンサンブル(東京国際フォーラム, 2009年)←ここに並べるのがはばかられるほどひどく、内実のない演奏。コルボの「バッハに対する無理解/不勉強」が白日の下にさらされた。どういうわけか日本でだけもてはやされている。アンスバッハ、ケーテン、ライプツィヒの主要なバッハ音楽祭に彼らが呼ばれないことをもう少し冷静に見つめてはいかがか。
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写真:バッハの墓(ライプツィヒ・トーマス教会)